一般社員の残業代をゼロにするホワイトカラー・エグゼンプション=WEの導入を検討している。
これはアメリカやドイツですでに導入されているもので、2007年にも一度議論が起こり流れた。国家戦略特区としての取り組みとして「ブラック企業特区」だと批判する世論に押され、「特区」の方針に盛り込めれなかった2013年の10月。
そのホワイトカラー・エグゼンプションの議論がまた戻ってきた。
ホワイトカラーは事務や営業などの一般的に背広ネクタイ姿で仕事をする人のことを差す。エグゼンプションは免除。
労働時間を成果にするのではなく、成果を賃金に変える仕組みだ。
今回の法案は一定収入のホワイトカラーに対し、労働基準法の労働時間の対象から免除する。管理職同様、何時間働いても会社は残業代を支払わなくていいようにするもので、残業代ゼロの法案だ。
対象者は年収1000万以上などの高収入の社員。それ以下の社員でも労働組合との合意で認められた社員。どちらにしても社員本人の同意が前提となっている。
現在では部長級や管理職などが労働時間に限らず残業代を支払わないことを認められている。ホワイトカラー・エグゼンプションについては、「自分で労働時間を決定できる自由度の高い制度だ」と一部で言われているが、この制度が導入された場合、企業は残業代の支払いを気にすることがなくなり、結果的に労働者に対して長時間労働を押しつけてくることは明らかだ。また労働時間が明確では無くなる為、労災認定がし辛くなる場合がある。
経営者側としては残業代を払わなければ絶対に儲かるし、それが合法であるならば労働者に訴えられない。第1次政権時の2007年度の法案からは200万あがり1000万以上の高収入者という限定基準になっているのと、本人の同意がなければならない。お金は欲しいし、自分なら同意はしないだろう。
許可されても居ない職種にみなし労働時間を採用して残業代をカットされたり、ひどい場合には何の根拠も無いままサービス残業させられている労働者も沢山存在する。
ホワイトカラー・エグゼンプションがきちんと運用されるのならば、仕事が遅く長くかかった人が賃金が多いという矛盾をなくし、あくまでも成果報酬になるという点。もうひとつは残業代が出ないからどうすれば早く終わるだろうと考え、作業効率、生産性が上がる。
日本では自分の仕事以外の仕事がどんどん押しつけられることがよくある。結果残業しないと間に合わなかったりする場合がある。
制度が始まればインセンティブと取り入れている企業と同様に完全実力主義の時代がくるだろう。