シンデレラなどで有名なグリム童話の作者、グリム兄弟を含む複数の作者によって記された民話。
一度はこの伝説を耳にしたことがあるだろう。
一夜にして子供たち130人が突如として消えたこの伝説。
青髭伝説みたいにその由来にはきちんとした歴史的事実には学問的に関心が高まっている。
ハーメルンの笛吹き男とはどういった話なのか。
Rattenfänger von Hameln
1284年、ハーメルンにネズミ捕りの男 を名乗る一人の男がやって来た。
ハーメルンの人々は、男にネズミ退治の報酬を約束した。すると男は笛を取り、笛の音でネズミの群れを惹き付けると、ヴェーザー川 におびき寄せ、ネズミを残さず溺れ死にさせた。ネズミ退治が成功したにも関わらず、ハーメルンの人々は約束を破り、ネズミ取りの報酬を支払わなかった。
笛吹き男はハーメルンの街を後にしたが、数週間後に再び戻って来た。住民が教会にいる間に、男は再び笛を吹き鳴らし、ハーメルンの子供達を街から連 れ去った。130人の少年少女が男の後に続き、洞窟の中に誘い入れられ、洞窟は内側から封印された。
ラッテンフェンガーはドイツ語でネズミを捕る男という意味だ。
男はなんのために子供を連れ去ったのか?仮説が3通りある。
①ネズミは難病にて伝染病だった黒死病ことペスト菌の発生源。黒死病にかかった子供たちを住民から遠ざけるものだった。
②子供達は東ヨーロッパの植民地で、彼ら自身の村の創建者となるために、自ら望んで両親とハーメルン市を見捨て去った。笛吹き男はそのリーダーだった。
③少年十字軍として連れ去ったという説。笛吹き男はその新兵募集員だった。
ネズミ=ペストを連想されるが、黒死病がはやるのはもう少し時代が先だ。
ボヘミア、 モラビア、ポーゼン、西プロイセン地方への、いわゆる東方移民についての言い伝えでは ないかと言われている。当時富裕な貴族たちは、ハーメルンの市民の中から確かに東方の 植民地へ移民する人々を募集していた。
男がリーダーなら辻褄が合う。
雇用側(ハーメルン)と労働者(男)の立場から、鼠を捕るという仕事に対して払われるべきは労働量に比例した代金であるべきだった。
笛をふいただけなら、作業量自体が少ないのだから、支払う代金も(結果に応じたものではなく)価値観からいらないと判断されたのだろう。
ネズミ捕りの男は報酬が目的だったが、嘘をつかれたが為にその場を離れる。
嘘をつかれた男はもっとも大事な宝(こども)を奪おうとした。
これらの話は約束を破るとそれ以上のものを失うという教訓に使われている。